昭和45年度より15年間のあゆみ

昭和45年度より15年間のあゆみ

昭和45年度

異業種交流グループ結成の呼びかけに応じた企業83社を、経営戦略に重点を置いた「新製品開発研究会」(43社)と、技術開発に重点を置いた「省力化技術研究会」(40社)とに分け、二つの研究会組織が編成された。

  「経営戦略」と「技術開発」という二つの研究会の流れは、その後の社会・経済環境の変化等で研究会の名称が変わったりしたものの、昭和57年に「技術と市場開発(MATE)研究会」として合同するまで続く。

(1)新製品開発研究会  45年10月~46年3月 「明日の企業成長を約束する新製品開発の進め方」というテーマのもとに、研究体制、開発の実例を中心に、体験談の紹介を行った。

(2)省力化技術研究会  45年8月~46年3月  主として工場自動省力化技術について、NC技術、ロボット技術等の導入時の問題点など、意見の交換を行った。

昭和46年度

前年に引き続いて、同名の二つの研究会が継続組織された。この年の五月、産業構造審議会から産業活動のシステム化についての答申がなされ、国家レベルにおいても、”異業種交流”に近い考え方が示されるようになつた。

(1)新製品開発研究会  46年6月~47年2月 「明日の企業の創造的発展をめざして」をテーマとして、マーケッテイングについての意見交換を行った。

(2)省力化技術研究会  46年7月~47年7月  前年の導入時の問題点をさらに一歩中へ踏み込んで、より具体的な問題についての事例発表をお互いに行い、メンバーの省力化設備計画に参考となる意見を出し合った。

昭和47年度

世間は、田中内閣成立で一種独特なムード。経済界では、新しい事業の展開を考える風潮があり、八月に出された中小企業審議会の知識集約化に関する答申には、今日の異業種交流についての考え方の源流を見ることができる。研究会も三年目を迎え、研究活動の新鮮さを求めて、二つの研究会の名称は下記のように変わった。

(1)新事業開発研究会  47年8月~48年3月  「知識集約化時代に対応する創造的事業展開の手法開発」というテーマのもとに、メンバーの体験、予測展望を持って、知識集約技術(ノウハウ)についての意見交換が行われた。

(2)高品位生産研究会  47年8月~48年3月  生産に対する発想の転換が意識され、「大量生産も高品質でなければ競争に勝てない」という考えをもとに、「金型の品質向上」「信頼性工学とは何か?」高品位製品をめざす経営者の理念」などについて、メンバー発表が行われた。

昭和48年度

企業を取り巻く環境が激しく変化し始めた年であった。こうした時代の波をどう克服していくかを研究するため、会の名称も下記のように変わっていった。 この年の中小企業白書には、「共同化、異業種連携を通ずる知識集約化の推進」という言葉が使われ、異業種企業間の連携の重要性が大きく認識されだした。

(1)企業環境変化対応研究会   48年7月~49年3月 「社会の進歩と変化を洞察し、明日の企業経営の方向を探る」をテーマとして、メンバーが体験した企業環境変化を述べ合い、今後の中小企業の方向性を探った。

(2)高品位生産研究会  48年7月~49年3月   この年は、メンバー各社が自社の技術開発過程を発表しあうことによって、自社製品を高品位化する手法を探り当てるという、相互体験実例による研究の年であった。

昭和49年度

前年に引き続き、二つの研究会が同じ名称で継続組織された。前年の暮れにオイルショックが発生し、今までの高度成長経済に急ブレーキがかかり、石油関連のコストが急上昇。多くの中小企業が倒産に追い込まれていくなかで、メンバー各社とも、コストアップの吸収策と省資源技術の習得に全力投球を始めた年であった。

両研究会とも事例発表が盛んに行われた。

昭和50年度

経済界は戦後初めてのマイナス成長を記録。不況の年であり、「不況乗り切り策」「低成長を克服する技術開発」を探ることが主なテーマとなる。 この年の活動で特筆されるのは、研究会メンバーからの提案によって、二世または次期経営者の育成を目的とした研究会、すなわち「JETS=Junior Executive Training Seminarが組織されたことである。 こうして研究会は、下記の三組織が構成された。

(1)企業環境変化対応研究会   50年5月~51年3月  主テーマは「低成長経済下での中堅中小企業の新しい成長パターンを探る」

(2)市場探索と技術適応研究会  50年10月~51年4月  主テーマは「低成長時代を生き抜く技術、市場戦略を考える」

(3)JETS  50年6月~51年4月    主テーマは「若手経営者の指導育成」講師には両研究会メンバーがなり、生き生きした「生」の実践教育がなされた。

昭和51~52年度

前年度に発足した三つの研究会が、51年度、52年度と三年間にわたり、同名称で継続組織された。48年暮れのオイルショックから始まって、この五年間はまさしく経済動乱の時代であり、企業の生き残りをかけた減量経営、新技術の開発等、低成長時代のトップマネジメントが問われた。

メンバー各社の体験談が個々に発表され、血のにじむ努力に、各メンバーとも大いに勇気付けられたときでもあった。社会情勢としては51年のロッキード事件などの社会事件が青少年の考え方に大きな影響を及ぼした年でもあり、こうした社会で生きて行く中堅中小企業のあり方についても熱い議論が交わされた。

昭和53年度

若手メンバーで構成していた「JETS」も三ヵ年間行われたが、いわゆるジュニアを卒業し、他の二つの研究会に参加していこうという機運が出てきたため、「JETS」を発展的に解散し、研究会組織を下記の二つで構成することになつた。

(1)環境変化活用研究会   53年6月~54年3月  主テーマは「異業種の現状と将来を学び自社の進むべき道を考える」

(2)市場探索と技術適応研究会  53年6月~54年3月  主テーマは「異業種間の対話を通じて商品ニーズと新製品を効率的に結ぶ戦略を創り合う」

昭和54年度

下記二つの研究会を組織し、70年代の最後に立って、今までの体験から、『来る80年代はどのように変化していくか?』をメインテーマに、メンバー相互で意見交換を行った。

(1)80年代の企業環境と経営戦略研究会  54年12月~55年7月  「80年代は創造の時代」と予測し、ヒット商品づくりのノウハウ等が話し合われた。

(2)市場探索と技術適応研究会   54年6月~55年3月  80年代の技術を予測するために、メンバー各社の技術・市場における現状の問題点を披瀝した。

昭和55年度

異業種交流事業は10周年を迎え、ちょうど大阪科学技術センター創立20周年とも重なって、その記念事業として、「異業種交流推進全国会議」を開催した。中小企業庁や科学技術庁などの後援も得て行われたこの会議は、異業種交流に関するわが国初の全国大会であり、北は北海道から南は九州・熊本に至る全国各地の自治体、会議所、企業等から約150名の参加を得るという盛会で、その後の国の異業種交流施策などに大きなインパクトを与えた。

 また、大阪府からの委託調査「異業種企業間交流推進体制の整備に関する報告書」を取りまとめた。この報告書は、当時、異業種交流に関する文献が皆無であったことから、関係各方面で高い評価を得た。このなかに述べられている「知りあい、使いあい、創りあう」という言葉は、その後の当研究会のスローガンとなったばかりでなく、他の異業種交流グループにも広く普及し、使われるようになった。

(1)高付加価値経営戦略研究会   55年11月~56年8月  80年代に入るに際し、研究開発面、社員教育面、エンジニア育成面、マイコン活用面等々の分野で「高付加価値経営戦略はどうあるべきか?」を討議した。

(2)市場探索と技術適応研究会   55年5月~56年3月  主テーマ「効率的な研究開発をどう進めるか?」をコンセプトに、メンバー各社の研究開発体制、ニーズ・シーズ等々について、事例・現状の紹介を数多く行った。

昭和56~59年度

前年まで主テーマごとに二つまたは三つの研究会であったが、80年代に入り、中堅・中小企業といえども、世界経済の中で自分を見つめていかねばならないという時代に変わった。こうした変化に伴い、より幅広い角度から研究会を運営するために、会を一つにして、名称を下記のように設定した。

市場探索と技術適応研究会(MATE研究会)  各年度の討議テーマは次のようなものである。

56年度   「市場ニーズの見方、生かし方」の研究討議。

57年度   この年研究会の名称が現在の「技術と市場開発(MATE)研究会」に改められた。「競争に打ち勝つ差別化戦略」の研究討議。

58年度   「異業種が創り合う技術と市場変化対応」についての分科会討議。

59年度   「情報化社会の現状認識、CIの概念研究、メンバー間交流実績と業界競争力確立の分析」等についての意見交換および討議

 前年まで主テーマごとに二つまたは三つの研究会であったが、80年代に入り、中堅・中小企業といえども、世界経済の中で自分を見つめていかねばならないという時代に変わった。こうした変化に伴い、より幅広い角度から研究会を運営するために、会を一つにして、名称を下記のように設定した。

市場探索と技術適応研究会(MATE研究会)  各年度の討議テーマは次のようなものである。

56年度   「市場ニーズの見方、生かし方」の研究討議。

57年度   この年研究会の名称が現在の「技術と市場開発(MATE)研究会」に改められた。「競争に打ち勝つ差別化戦略」の研究討議。

58年度   「異業種が創り合う技術と市場変化対応」についての分科会討議。

59年度   「情報化社会の現状認識、CIの概念研究、メンバー間交流実績と業界競争力確立の分析」等についての意見交換および討議。

15年間を振り返って 

以上、昭和45年よりの15年間を研究会のテーマの流れを通して述べてきたが、ここで知り合ったメンバー同士は、ちょうど小学校から高校生活の間に知り合ったクラスメート的な友情によって、固く結ばれた。こうした人間関係を創生できたことが、15年間の最大の成果だつたと思う。幾多の交流から生まれた製品も数多い。しかしそれ以上に、メンバー相互に研讃し合った心がそれぞれの企業にもたらした成果は大きく、それはおそらく、文字で表すことはできないだろう。

>>16年目からのMATE研究会活動